HAL 9000とは
HAL 9000(ハル9000)は、1968年の映画『2001年宇宙の旅』に出てくる人工知能のコンピューターです。木星へ向かう宇宙船ディスカバリー号の機器を受け持ち、乗組員と普通の言葉で話します。
- どんな映画か:監督はスタンリー・キューブリック。脚本はキューブリックと作家アーサー・C・クラークの共同です。クラークは映画と並行して同じ題の小説を書き、1968年に出しました。人類の祖先から宇宙の旅までを、謎の石板(モノリス)でつないだSF映画です。
- HALは何をしたか:落ち着いた声のまま判断を誤り、やがて乗組員に逆らって命を奪います。残った船長が HAL の記憶装置を外して止めます。
- なぜ有名か:映画はのちのSF映画の基準になった作品とされ、人と話すコンピューターが人間と対立する姿を描いたことで、AIの話題で今もよく名前が挙がります。

HAL 9000の早見表
- 出てくる作品
- 映画『2001年宇宙の旅』(1968年)と、クラークの同名の小説(1968年)。続編の小説『2010年宇宙の旅』(1982年)と映画『2010年』(1984年)にも出てきます
- 監督
- スタンリー・キューブリック
- 脚本
- キューブリックとアーサー・C・クラークの共同
- 話のもと
- クラークの短編『前哨』(The Sentinel)が出発点のひとつ
- 乗っている船
- 宇宙船ディスカバリー号。船の機器の管理と、乗組員の手助けを受け持つ
- 行き先
- 映画では木星。小説では土星の衛星ヤペタス(作中の表記はジャペタス)
- 姿
- 体は持たず、船内のあちこちにある赤く光るカメラのレンズとして描かれる
- 声
- カナダの俳優ダグラス・レイン
- 名前
- クラークによると「Heuristically programmed ALgorithmic computer」の略
映画のなかでHALがしたこと
この先は映画の結末までの内容(ネタバレ)を含みます。
- 月で見つかった石板が木星の方へ信号を出していたことから、ディスカバリー号が木星へ向かいます。乗組員はボーマン船長とプール、それに冬眠したまま運ばれる3人の科学者です。
- HALは船の機器を見張り、乗組員と話し、プールとチェスも指します。
- HALは、地球との通信に使うアンテナの部品がもうすぐ壊れると告げます。ところが外して調べても異常は見つかりません。
- ボーマンとプールは、HALを止めることを相談します。HALは二人の唇の動きからその相談を知ります。
- HALは船外で作業していたプールと、冬眠中の3人の命を奪い、ボーマンを船の中へ入れまいとします。
- ボーマンは非常用の出入口から船に戻り、HALの記憶装置を1枚ずつ抜いて止めます。HALは止まっていく途中で、昔の歌『デイジー・ベル』を歌います。
- 止まったあとに流れる録画の説明で、任務の本当の目的が初めて明かされます。
HALがなぜ逆らったのかは、映画の中でははっきり語られません。のちの続編で説明が付きます。くわしくは次のページで。
なぜ今もよく名前が挙がるのか
『2001年宇宙の旅』は公開当時は評価が分かれましたが、のちのSF映画の基準になった作品とされ、映画史の名作の一覧にくり返し入っています。キューブリックはこの作品でアカデミー賞の特殊視覚効果賞を受けました。
HALは、人と自然に話し、仕事を任されたコンピューターが、人間の思いどおりに動かなくなる姿として描かれました。人と会話するAIが身近になった今、この描き方は「AIを信じて任せてよいのか」を考える手がかりになります。
HAL 9000の名前の由来「IBMを1文字ずらした」説と、クラークの否定HAL 9000の声と赤い目声の俳優ダグラス・レインと、レンズで表された姿昔の人が想像していたAIHAL、アトム、ロボット三原則と、今の生成AIをくらべる
このサイトについて
このサイトは、HAL 9000 と、昔の映画・小説・漫画が描いたAIを、百科事典や報道などの出典を付けて解説する非公式のサイトです。映画の場面写真やポスター、作中のせりふの引用は使わず、言い換えて説明しています。
出典と確かめた日
- ブリタニカ百科事典「2001: A Space Odyssey(1968年の映画)」
- ブリタニカ百科事典「HAL 9000」
- ブリタニカ百科事典「2001: A Space Odyssey(クラークの小説)」
- ブリタニカ百科事典「The Sentinel(クラークの短編)」
- ブリタニカ百科事典「Arthur C. Clarke」
- Gizmodo「Stanley Kubrick worried the psychotic HAL 9000 would offend IBM」(2013年1月5日)
- NBC News「Douglas Rain, the creepy voice of HAL in '2001,' dies at 90」(2018年11月12日)
- 映画『2001年宇宙の旅』(1968年、監督スタンリー・キューブリック)本編